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いちご畑付きのレストランを開くのが夫婦の夢

更新日: 2021.04.19
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新型コロナウイルスの影響で、外国人の新規入国が制限され、外国人技能実習生が来日できていない状況が続いています。MJBL財団の実習生第1期生として、来日を待つシャハンシラさんもその一人です。今回、シャハンシラさんのご自宅で、生い立ちや今の心境を伺ってきました。

カトマンズから北へ2時間ほどのカカニ村出身のシャハンシラさん。いちご、大根、トウモロコシ、えんどう豆などの作物を育てる両親の畑仕事を、幼いころから手伝ってきました。特に、いちごへの思いが強く「カカニがいちごの村として知られていることが誇らしい」と語ります。

シャハンシラさんが高校生の頃、母子家庭となり、突然、生活が苦しくなりました。勉学を諦めかけましたが、母親が大学に通わせてくれました。在学中にNGOの仕事が見つかり、休学することに決めましたが、「立派な」仕事に就いたことを母親はとても喜んでくれました。

就職して初めて親元を離れて地方で生活したシャハンシラさん。「村の女性たちに、自分の畑で野菜を栽培することを教えたり、鶏を自宅で飼うことを教えたり、妊婦の栄養に関するオリエンテーションを企画するのが私の仕事でした」と笑顔で語りますが、見知らぬ土地で辛くて泣きながら働いたのは、母親の期待を感じていたのと、小さい弟たちを学校に通わせるためでした。仕事は大変でしたが、一家を支えている喜びを感じていました。

そんな中、2015年4月にネパールで大地震が発生しました。カカニ村の家屋の多くは、石を積み立て土で固めるだけの簡素な構造だったため、シャハンシラさんの実家を含め、ほとんどが全壊してしまいました。シャハンシラさん一家も、ローンを組んで新しい家に建て替えましたが、今でも返済は終わっていません。

そんな苦労の中に運命の出会いがありました。仕事のオリエンテーションの場として使用していたレストランのコックだった現在のご主人と知り合いました。話をしてみると、ご主人も同じような家庭環境で育っていて、お互いのことをすぐに理解できました。きっと自分のことを大切にしてくれると思ったのですが、結婚になかなか踏み切れなかったのは、父親に対する不信感から生じる「結婚しても自分も見捨てられるかもしれない」という不安を感じていたからでした。素直に自分の気持ちを伝えると、ご主人は「君が結婚できる心の準備ができるまで待っているから」と言ってくれました。昨年3月、二人は結婚式を挙げました。

実習生としてすぐ来日できる見込みだったので、「立派」だった仕事も辞めてしまっていて、今はご主人の収入だけで生活しています。ご主人は、クエートの中華料理店での5年間の修業経験を活かし、現在はカトマンズの三ツ星ホテルで中華料理を作っています。新型コロナウイルスの影響で観光客が少ないため、月給も思っていたほどもらえていません。ネパールとはいえ、都市部に住む夫婦にとっては生活の余裕はほとんどありません。

地震とコロナという厳しい現実の中に、夫婦の夢を見つけました。「日本で実習生として働いて、いちご栽培の技術を学んだ後は、カカニ村で自分の土地を買うことを考えています。そこで畑付きのレストランを夫婦で開くのが夫婦の夢なんです。お客様に畑でいちごを摘んでもらったりして、新鮮ないちごを提供できるレストランにしたいと思ってます。もちろん料理を作るのは主人です」と話しました。