ネパールのロックダウン下における人々の生活について
ネパール駐在スタッフ、カトマンズ在住の勝手より、ネパール最新情報をお届けします。
ネパールでは4月29日からロックダウンを行っていますが、1か月経過しても、感染者は1日あたり8000人台で高止まりしていました。これを受け、ネパール政府は5月28日から、ロックダウンを厳格化しました。スーパーやデパートも終日開けることが許されず、「真に必要な用事」以外で外出した場合は、罰金を課せられることになりました。開けることが許されるお店は、薬局、食料品を売っている個人商店、お肉屋さん、八百屋さんくらいです(しかも営業時間は9時まで)。昨年のロックダウンはこれほど厳格化されなかったので、今回、政府が本気になってコロナ収束を図っているように思います。
カトマンズ中心部では厳しく取り締まっていることが報道されていますが、私が住んでいるような郊外で大通りから人目につかない場所では、あまり警察が見回りに来ないので、朝9時以降でも店を開けていたり、外を歩く人がいたり、日雇い労働者が一般住宅の建設現場で働いていたりします。それでも、やはり厳格化前に比べると、外に出ている人の数が非常に少なくなりました。
なお、ロックダウンにも関わらず、建設現場で働いている日雇い労働者の気持ちもわかります。彼らは、働けば1日あたり1000ルピーの収入がありますが、働かなければ0です。政府からの保証は何もありません。家族にご飯を食べさせるために、働かざるを得ないのでしょう。
また、ネパール国内テの報道によると、カトマンズの野菜消費量がロックダウン前に比べて、半分以下になっているとのこと。カトマンズに隣接するマクワンプール郡のある農家は、カリフラワーを栽培していますが、ロックダウン前は1キロ50ルピーで売れていたのが、今は10ルピーでもあまり売れないそうです。その他、ピーマン、トマト、ゴーヤ、キャベツなども収穫されずに、畑で腐っている状況です。ロックダウンによって、大消費地であるカトマンズの外食産業が閉鎖されており、サプライチェーンも影響を受けていることが原因であると報じられています。
カトマンズの野菜消費量が下がっているのは、ロックダウンによって田舎に帰った人が多く、カトマンズの人口が減少していること、仕事ができずに減給又は無給になり、質素な食生活にせざるを得ないことも、原因であると私は考えます。2年連続で長期のロックダウンになり、作物が売れないどころか、畑で腐っていく光景を見る農家は、怒りと無力感を感じていることでしょう。当然、農家のモチベーションはかなり低くなっていると思うので、来年は作付けしないと考える農家も出てくるかもしれません。
ロックダウンの厳格化が功を奏してか、5月29日の感染者数は4000人台まで下がりました。一刻も早くコロナが収束して、日常が取り戻されることを願います。