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村の未来を背負って来日を待つ実習生たち

更新日: 2021.05.19
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ネパールでも感染力が強いとされるインド変異株が流行していて、1日あたりの新規感染者数は8000人を越えている状況です(5月10日現在)。発熱などの症状があってもPCRを受けない人もいたり、家族から感染した場合も改めてPCRを受けたりしないので、実際の感染者数はもっと多いことが予想されます。ネパール政府によって、カトマンズを含める各都市でロックダウンが実施され、以前の街の喧騒がうそのようです。この状況の中、来日を待つ実習生がどのような気持ちでいるのか。ラムさんに話を聞いてきました。

MJBL: 第1期生の4人の中で、ラムさんは日本語の上達が一番早いですね。どうして日本に関心を持っているのですか。

私が子供のころ、近藤さんという日本人の方がカカニ村で学校を建設してくれました。近藤さんが「こんにちは」と話しかけてくれ、日本語の発音が美しいと思いました。また、他人に対する敬意の表し方も素晴らしいと思い、日本に関心を持つようになりました。

MJBL: 新型コロナウイルスの影響で、来日が遅れていますが、今の率直な気持ちをお聞かせください。

昨年の4月に来日できると思っていたのですが、今年の4月も来日できませんでした。スマホで日本のニュースを見ているのですが、東京オリンピックが終わるまでは、外国人の新規入国ができないのではとのニュースも見ました。いつ来日できるか心配ですが、こんなに待ったのだから、キャンセルだけにはなって欲しくないというのが率直な気持ちです。

また、カカニは小さい村なので、村の人たちは、私たちの来日が1年以上遅れていることを知っています。やっかみの感情を持つ村人から「おい日本人!日本のどこに行くんだっけ。いくら稼げるんだ」とからかわれるのは少し辛いですね。

MJBL: ロックダウンによって、カカニの農家の人たちに、どのような影響が出ていますか。

昨年の3月、第1回目のロックダウンが実施された時、いちごの収穫シーズンでしたが、集荷できない状況になってしまい、畑でいちごが腐ってしまいました。また、ロックダウンが実施されると努力が水の泡になると思い、カカニ村の農家の多くは、堆肥作りにあまり力を入れなかったり、いちごやエンドウ豆等の作物を積極的に植えたりすることはしませんでした。結局、これが裏目に出てしまい、今年の収穫期にロックダウンは実施されず、収入も低くなってしまいました。

MJBL:日本のいちご農家で何を学びたいですか。

ネパールのカカニのような丘陵地帯では、農作業はすべて手で行っています。耕作機もほとんど使われていません。日本の農業は様々な技術が使われていると思いますが、ネパールで応用できる技術を学びたいです。

MJBL: 次女が生まれたばかりですが、来日したら離れて暮らすことになります。寂しくはありませんか。

個人的には辛いですが、仕事をしないといけないので、寂しいと言ってられません。妻も日本語の勉強にお金だけかかって、結局、日本に行けないのかと心配しています。いつ日本に行けるのか楽しみにしているので、早くコロナの状況が改善されることを願っています。